流体力学

流体力学

(BK-92005)

吉澤徴/著  東大出版会/刊


流体力学は、微粒子から気象、海洋さらには天文現象にいたる広範な流れを研究対象としている。これらの流れは多種多様な運動形態および空間約広がりを有するため、その解析に用いられる数学的手法も多岐にわたっている。筆者は1960年代半ばに大学院に入学し、今井功博士(当時東京大学理学部教授、現名誉教授)の門下生として流体力学に接するようになった。当時は、微粒子の運動などに密接した低レイノルズ数流れ(遅い流れ)や境界層理論による高レイノルズ数流れ(速い流れ)などの層流の研究が成熟期を迎えていた。また、流体方程式の体系的近似解法を与える漸近接合展開法の研究も成長期にあり、乱流諸現象が流体力学の主要な研究対象となっている現在と比較すると、層流研究が流体力学に占める割合は大変大きかったと言える。筆者は大学院入学以後約十年間、層流研究の末席に連なり、その後乱流理論の研究に転じた。その際、層流と乱流のそれぞれの研究方法に、土壌の差と言えるほどの差異があることに戸惑いを感じた。さまざまな空間スケールの運動成分間の相互作用を扱う乱流の解析において使用される数学的方法は、層流解析における、近似の精度を明確にできる解法とはかなり異なり、得られた結果と観測(実験)結果との整合性からその適否を判断せざるを得ない場合も少なくない。工学や自然科学現象に現れる複雑な乱流を考察するときは、この傾向はとくに顕著となる。本書は、初めて流体力学に接する読者に、層流に加えて乱流の基礎的事項の説明(第5章)を合わせ行うことを目的としている。
・・・・・・・まえがきより

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