レーダシステムの基礎理論
レーダシステムの基礎理論
伊藤信一 著 A5版 344ページ
本書は,レーダの基本形である捜索レーダについて,目標探知技術を中心とする捜索レーダシステムの基礎的理論とその物理的意味に重点を置いて解説している。レーダの開発・設計に携わる技術者やレーダシステム技術の学習者には必携。
目次
1. 本書の範囲とレーダ利用の現状
1.1 レーダの特質
1.2 本書の対象範囲と構成
1.3 レーダ利用の現状と捜索レーダの位置付
1.3.1 防衛用レーダ
1.3.2 航空管制用レーダ
1.3.3 気象レーダ
1.3.4 飛翔体追尾レーダ
1.3.5 宇宙飛翔体監視レーダ
1.3.6 画像(映像)レーダ
1.3.7 船舶用レーダ
1.3.8 自動車用レーダ
1.3.9 地中探査レーダ
1.3.10 その他のレーダ
1.4 レーダの周波数帯
1.5 戦時下レーダ開発における外国レーダ技術の利用
引用・参考文献
2. 目標探知性能の算定
2.1 レーダの基本形:捜索レーダ
2.1.1 目標の捜索と探知・計測
2.1.2 レーダ覆域設定上の基本的制約条件
2.1.3 レーダシステムの基本構成
2.2 目標探知性能の基本算定式
2.2.1 反射波受信電力の算定
2.2.2 基本レーダ方程式
2.3 SNR導入による実用レーダ方程式
2.3.1 実用レーダ方程式導出のための検討事項
2.3.2 SNRによる目標検出基準の必要性
2.3.3 基準とするフィルタ出力に対応するSNRの表示式
2.3.4 実用レーダ方程式
2.4 確率に基づく目標検出基準の導入
2.4.1 目標検出の確率的判定の必要性
2.4.2 確率的目標検出基準の算定手順
2.4.3 PPI表示における目視検出の一端紹介
引用・参考文献
3. レーダ方程式のパラメータ
3.1 送信パルス波諸元
3.2 アンテナ諸元
3.2.1 レーダ用アンテナの一般的性質
3.2.2 アンテナビーム幅
3.2.3 アンテナ利得
3.2.4 偏 波
3.2.5 その他のアンテナ諸元
3.3 アンテナ利得・開口積
3.3.1 利得・開口積の周波数依存性の定式化
3.3.2 最大探知距離の周波数特性
3.4 レーダ断面積
3.4.1 レーダ断面積の工学的解釈
3.4.2 レーダ断面積の角度依存性
3.4.3 単純形状物体のレーダ断面積
3.5 受信機雑音
3.5.1 増幅器の雑音指数
3.5.2 多段増幅器の雑音指数
3.5.3 雑音指数の測定法
3.6 システム雑音
3.6.1 システム雑音電力
3.6.2 受信部の等価入力雑音電力
3.6.3 伝送線路の等価入力雑音電力
3.6.4 アンテナ雑音電力
3.7 フィルタの特性とその損失補正
3.7.1 雑音帯域幅
3.7.2 帯域フィルタの損失補正
3.7.3 マッチドフィルタのマッチング損失
3.7.4 帯域幅補正係数
引用・参考文献
4. 目標信号の検出基準
4.1 単一反射パルス波による目標検出と目標検出基準
4.1.1 雑音と信号に関わる確率分布
4.1.2 誤警報確率設定値に対応する信号検出しきい値
4.1.3 目標検出確率設定値に対応する目標検出基準値
4.2 複数反射パルス波による目標検出と目標検出基準
4.2.1 積分処理による目標検出性能の改善
4.2.2 コヒーレント積分処理による目標検出
4.2.3 ノンコヒーレント積分処理による目標検出
4.3 目標反射波の変動を考慮した目標検出基準
4.3.1 変動する目標反射波の扱い方
4.3.2 目標フラクチュエーションモデル(変動モデル)
4.3.3 変動する目標反射波に対する目標検出基準値
引用・参考文献
5. 目標探知性能算定のまとめ
5.1 レーダ方程式におけるシステム関連パラメータ
5.1.1 レーダ方程式における損失項
5.1.2 電波伝搬中に受ける大気と地表面の影響
5.1.3 捜索レーダにおける目標ヒット数
5.2 レーダ方程式のまとめ
5.2.1 代表的レーダ方程式との比較考察
5.2.2 レーダ方程式の計算例
引用・参考文献
6. 電波の大気屈折とレーダ垂直覆域図
6.1 電波の大気屈折がレーダ運用に与える影響
6.2 大気の屈折率分布と電波伝搬軸の屈折
6.2.1 大気の屈折率分布モデル
6.2.2 電波伝搬軸の数式表示
6.3 レーダ垂直覆域チャート
6.3.1 指数分布モデルによる垂直覆域チャート
6.3.2 等価地球半径モデルによる垂直覆域チャート
6.4 球形大地上のレーダ見通し距離
6.5 大地反射が垂直覆域に及ぼす影響
引用・参考文献
7. レーダシステム性能の改善・向上技術
7.1 システム性能の改善・向上課題
7.2 アンテナ設計による捜索・探知性能の改善・向上
7.2.1 垂直面アンテナパターンの最適設計
7.2.2 偏波の選定
7.3 マッチドフィルタによるSNRの最大化
7.3.1 マッチドフィルタの導出
7.3.2 マッチドフィルタの出力信号波形
7.3.3 マッチドフィルタの特質
7.4 パルス圧縮技術による尖頭送信電力の設計自由度向上
7.4.1 パルス圧縮技術のレーダシステムにおける意義
7.4.2 パルス圧縮方式のレーダ方程式における取扱い
7.5 レーダ信号処理によるクラッタ中目標の検出性能改善
7.5.1 クラッタ環境下での目標検出
7.5.2 移動体反射波のドップラー周波数偏移
7.5.3 目標検出性能改善におけるクラッタ諸元の記述
引用・参考文献
8. パルス圧縮技術
8.1 周波数変調信号を用いるパルス圧縮
8.1.1 LFMパルス圧縮方式の動作の流れ
8.1.2 LFMパルス圧縮方式の圧縮原理
8.1.3 LFMパルス圧縮方式の圧縮信号波形
8.1.4 パルス圧縮フィルタの具現化技術
8.1.5 LFMパルス圧縮信号の時間サイドローブ低減
8.1.6 非線形周波数変調信号を用いる時間サイドローブ低減
8.2 位相変調信号を用いるディジタルパルス圧縮方式
8.2.1 離散的信号による位相変調
8.2.2 2値符号列によるディジタルパルス圧縮
8.2.3 多相符号列によるディジタルパルス圧縮
引用・参考文献
9. レーダ信号処理技術
9.1 クラッタの性質とクラッタレーダ断面積
9.1.1 大地クラッタ
9.1.2 海面クラッタ
9.1.3 気象クラッタ
9.2 ドップラー周波数偏移の利用による目標検出性能の改善
9.2.1 MTI処理による移動体の検出
9.2.2 ディジタルフィルタバンクによる移動体の検出
9.3 クラッタの統計的特徴の利用による目標検出性能の向上
9.3.1 Log-FTC/CFAR
9.3.2 ワイブルCFAR
9.3.3 ノンパラメトリックCFAR
引用・参考文献
10. フェーズド アレー アンテナ技術
10.1 電子走査アンテナの基本方式
10.2 フェーズド アレー アンテナの特長とレーダによる利用
10.3 フェーズド アレー アンテナのビーム走査
10.3.1 直線フェーズド アレー アンテナのビーム走査
10.3.2 平面フェーズド アレー アンテナのビーム走査
10.4 フェーズド アレー アンテナの構成
10.4.1 パッシブ フェーズド アレー アンテナの構成
10.4.2 アクティブ フェーズド アレー アンテナの構成
10.5 フェーズド アレー アンテナ設計上の技術課題
10.5.1 グレーティングローブの発生回避
10.5.2 素子アンテナ間相互結合への対処
10.5.3 アレー面表面波によるブラインドの発生回避
10.5.4 量子化移相誤差への対処
10.5.5 アレー動作周波数帯域幅の制約
引用・参考文献
11. 捜索レーダにおける目標追尾技術
11.1 レーダにおける目標追尾
11.2 捜索レーダにおける目標追尾
11.2.1 TWS追尾処理の流れ
11.2.2 追尾フィルタの考え方
11.2.3 a-bフィルタによる目標追尾
11.3 最適推定理論に基づく目標追尾
11.3.1 カルマンフィルタの応用
11.3.2 カルマンゲインと分散の計算例
11.3.3 追尾フィルタの最適化へ向けた課題
引用・参考文献
12. 捜索レーダにおける測高技術(3次元レーダ)
12.1 ペンシルビームを用いる測高方式
12.1.1 ペンシルビーム測高方式の分類
12.1.2 垂直面ビーム電子走査による測高方式
12.1.3 垂直面ビーム非走査アンテナによる測高方式
12.2 ファンビームを用いる測高方式
12.2.1 垂直面ビーム機械走査アンテナによる測高方式
12.2.2 垂直面ビーム非走査アンテナによる測高方式
引用・参考文献
索引
これからの気象観測に欠かせないレーダ、雷、二重偏波雨量計、フェーズドアレー、ドップラー、ゲリラ豪雨予測、ウィンドプロファイラなど 防衛戦略だけではない一歩先の知識が解説やプレゼンの差に!。