防災の道しるべ 揺れる大地

防災の道しるべ 揺れる大地

(BK-65002)

清野政明/著  クライム気象図書出版部/刊


島弧をなす日本列島は、弧の外側に海溝、島弧上に数多くの火山、弧の内側に縁海と呼ばれる海があります。これらの形成は2億年ほど続くプレートの動き、更には1〜2千万年前から続く縁海の拡大によるといわれています。アジア大陸の一部であった日本列島は、太平洋プレートの圧力などによる隆起や、プレートに乗って運ばれてきた岩体(付加体)を付けて発達してきました。沈み込むプレートの摩擦熱などにより発生するといわれるマグマは、地表に火山を生成し、多量の火山灰などを堆積させました。こうして日本列島の基本的形状ができあがったといわれています。
更に、中緯度にある日本列島は、周囲の海の影響を受けて四季の移り変わりや雨・雪のような豊富な水の循環があり、狭いながらも扇状地や沖積平野が発達しました。
日本列島はこうして風光明媚な景色に恵まれ、肥沃な土地を持ち、山・海・平野が人々の活動を支えてきました。一方、この顕著な地殻変動を続ける列島周辺では、同じプレート運動が巨大地震、大津波、大噴火などを発生させ、複雑化、巨大化した都市などの社会構造は、その影響を「自然災害」として厳しく受けるようになっています。
この本の表題の「防災」とは災害から人の命や生活環境を護るということです。しかしながら、人が「災害」と呼ぶものの多くは島弧の成り立ちの一過程であり、自然のいとなみの一環であり、自然のめぐみと一体のものではないかと思います。火山噴火を研究分野のひとつとする筆者は、1970年代までは研究成果の社会的貢献の一環として「自然災害の克服」を考えていました。
しかし、その後の激しい自然破壊の進行の中で、自然との共存・共生を厳しく問い直す必要を痛感しました。その問いへの答えはまだ模索中、答えは簡単に出そうにありません。というより、絶えず自問自答を続けることが答えなのかも知れません。 
                    ・・・・はじめにより

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