雪と氷の世界
雪と氷の世界
(BK-83003)
若濱五郎/著 東海大学出版会/刊
冬になるとユーラシア大陸の北半分と北米大陸北部の広大な面積は雪で覆われる。また、極地や高山帯には、氷河や氷床などの万年雪氷、永久凍土、そして海には流氷野が果てしなく拡がっている。これら雪氷圏の変動は、地球気候の変動と密接に関わり合っているのである。この立場からの雪氷の研究が最近盛んに行われるようになった。多くの人々の生活や自然界全体の循環や生態に重大な関わりをもつのが雪と氷である。雪と氷、それは人間と生物にとってもっとも身近で重要な物質H2Oの固体の姿である。さらに最近、雪氷は宇宙空間にも多量に存在していることが発見された。ハレー彗星などの彗星の本体は雪の塊りであるとか、木星のガリレオ衛星の表面は厚い氷で覆われているとか、土星の環は直径が1mくらいの氷塊が集まったものであるなど、雪氷圏は地球上だけでなく、宇宙空間にも拡がったのである。それなのに、小・中・高校の理科や社会の教科書には雪や氷についてほとんど何も書かれていない。そこで、この本を世に送り出し、雪と氷の自然やそのすばらしい造形をできるだけ多くの人に知ってもらうとともに、雪氷の社会的問題、さらには雪氷の及ぼす地球規模の循環や作用をも考える縁としていただけるならばたいへん幸いである。それが36年間もの間、雪と氷の世界を自由に学ばせていただいた筆者のつとめでもあると思うのである。・・・・本文より
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