南極読本ー隊員が語る寒冷自然と観測の日々ー

南極読本ー隊員が語る寒冷自然と観測の日々ー

(BK-51016)

南極OB会編集委員会/編 A5判 240頁


南極は、どのような場所で、観測隊員たちは何を調べ、どのような発見・成果があったのか。探検の歴史から、気象、地理、生物、物理観測、生活に至るまで、南極観測隊員がわかりやすく解説しています。
南極大陸は、地球表面の12分の1を占め、人類活動による環境破壊や汚染の影響が最も少ない、地球上に残された最大の原生地域である。この南極地域の科学的調査は、南極条約の下に国際的な枠組みで進められてきた。わが国の南極観測は、国際地球観測年(1957〜58年)に始まり、4年間の空白はあったものの、半世紀を超える歴史を刻んでいる。1966年からは、継続的な観測が行われており、オゾンホールの発見や内陸調査隊が先鞭を付けた大量の南極隕石の発見、ドームふじ基地における氷床コア掘削による70万年を超える古気候研究の資料の取得など、重要な成果が得られている。これまでの科学調査により明らかにされた南極についてのさまざまな成果を解説することを目的として、南極OB会メンバー(観測隊経験者)により執筆・編集された。南極OB会は、講演活動などを通じて、南極観測や極域科学についての啓発・普及活動を進めてきた。こうした活動の中で、南極について全般的に解説した手引書的な本の必要性を感じていた。記述すべき内容は、大陸の生い立ちや地理・地形、雪と氷、大陸氷床掘削、南極海と海氷、動植物、極夜を彩るオーロラ、大陸氷床上で発見された大量の南極隕石、寒冷な気象や地球環境に関わるオゾンホールの問題などさまざまな研究分野に関わっている。また、観測調査の成果だけではなく、設営や基地生活、砕氷船による輸送、脆弱な南極域の環境保全に関する解説なども、南極観測を理解するためには欠かすことができない。これらすべてを簡潔に専門的にならないようにわかりやすく記述し、一冊の本としてまとめることは容易なことではないが、あえて試みた結果が本書である。

目次
1.雪と氷の世界
南極大陸と人類
南極大陸と南極氷床
南極氷床の成り立ち
氷床の気候と堆積環境
氷床雪氷層に残る気候・環境変動の記録

2.南極の気候
南極各基地の気温比較
内陸域の気候
オゾンホール問題
温室効果ガス増加問題

3.オーロラ
オーロラとは何か
オーロラの形と明るさ

4.南極大陸の地理と地形
南極大陸の地域と地形
氷床下の基盤岩の地形
露岩域の地形
海底の地形(大陸棚の地形)

5.南極の地図作成
位置の決定
地球の形と大きさ
空中写真撮影と地形図の作成
南極の地図

6.南極海と海氷
荒れ狂う南極の海―南極海の構造と特徴―
海氷の誕生と変化
深層循環および気候形成に果たす南極海の役割

7. 陸の生物
南極の生物地理
種子植物とコケ類
淡水藻類・地衣類・菌類・細菌類
植物の生態と環境
陸上の動物
陸上生態系の保全

8.海の生物
南極海と食物連鎖
南極海のほ乳類
ペンギン類と飛しょう性海鳥類の生態
魚類と生理的特徴
底生生物
植物プランクトン
南極海洋生態系の鍵種ーナンキョクオキアミー

9.南極大陸の生い立ち
南極大陸の地形と地質区分
南極大陸の成り立ち
南極大陸の生い立ちとゴンドワナ大陸

10.南極隕石
隕石について
南極隕石の発見と収集の歴史
隕石収集と宇宙科学
隕石集積機構11

11.地球物理観測
地磁気
地震・重力・測地
潮汐観測

12.昭和基地の気象
南極の気象・気候観測網の現状
昭和基地での観測の内容と観測成果
昭和基地の気象の特徴
昭和基地の季節の特徴

13.越冬生活
観測隊員構成
南極生活の1年
越冬隊の生活
越冬中の食事・嗜好品

14.南極観測隊の設営
わが国の観測基地
基地建物
発電装置
燃料
造水と給水設備
通信
食糧
装備
雪上車
廃棄物処理

15.環境保護
南極大陸の環境変化
国際協力による環境保護
わが国の取り組み
南極観光と環境問題
観測隊と環境問題

16.南極大陸の探検の歴史
南極大陸の発見
南極内陸探検時代の始まり
国際地球観測年(IGY)以降

17.南極観測支援
観測船による輸送支援
「宗谷」の時代
「ふじ」の時代
初代「しらせ」の時代
2代目「しらせ」の時代
海洋観測支援
基地作業・野外観測支援

コラム
氷床コア中の大気成分
最近の南極オゾンホール
南極昭和基地大型大気レーダー計画(PANSY)
地形からわかる南極氷床史
南極ドーム頂上の基盤地形
米国南極地図に記された白瀬隊地名
南極・昭和基地付近でみられる海氷の特徴―積雪が氷を厚く成長させる―
氷床下湖
ボストーク湖と太古の微生物
地質年代とアーケアン―始生代か太古代か―
エアロゾルを感じる―青空と白い息―
南極条約
白瀬南極探検
IGYと日本の南極観測隊の始まり

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