気象ブックス 045 台風予測の最前線
気象ブックス 045 台風予測の最前線
中澤哲夫 著 A5判 204ページ
日本に気象災害をもたらす「台風」が発生する仕組みと、それを観測、予測する技術を網羅。台風とは、熱帯低気圧が風速17メートル毎秒以上に発達したもので、全世界で年間80個、北太平洋で26個が発生。日本にはそのうち平均11個が接近、3個が上陸しています。本書では、台風観測と予測技術の最新情報、温暖化と台風、国際協力体制、台風防災の心構えなど、目先の予報だけではなく、将来的な台風研究の見通しまで述べています。
【目次】
第1章 台風とは何か
1.1 台風の定義
1.2 台風の一生
コラム1 台風の発生域
コラム2 コリオリ力
コラム3 モンスーントラフ
コラム4 台風の発生過程と柳井先生の先駆的研究
コラム5 大気(空気)の重さ
コラム6 潜熱と顕熱
コラム7 角運動量保存の法則
1.3 台風と温帯低気圧はどう違う?
コラム8 低気圧にもいろいろある?
第2章 台風の発達のメカニズム
2.1 不安定な大気とは?
コラム9 乾燥断熱減率
2.2 大気の上昇
2.3 二種類の条件付不安定
2.4 CISK(対流とより大きな場とのコラボ)で台風が発達
コラム 10 摩擦収束
コラム 11 積雲対流の組織化と原子核分裂反応
第3章 台風をとらえる
3.1 台風強度を衛星から推定 ―ドボラック法―
3.2 宇宙から台風を見る
コラム 12 ひまわり8号 ―世界最先端の静止気象衛星―
3.3 航空機から台風を測る
コラム 13 航空機から台風を測る―日本で初めて台風の眼に入った航空機
コラム 14 Aeroclipper(エアロクリッパー)
第4章 台風を予報する
4.1 台風をどうやって予報するのか?
4.2 台風はどこまで精度よく予報できているのか ― 進路予報
コラム 15藤原(ふじはら)効果
4.3 観測のツボ
4.4 台風はどこまで精度よく予報できているのか ― 強度予報
コラム 16NICAM
4.5 台風予報の現場では
4.6 アンサンブル予報とは?
4.7 研究目的に自由に使えるアンサンブル予報データ
4.8 MJOの予報改善で台風予測が1ヶ月先まで可能に
4.9 近未来の天気予報 「位置について、用意、ドン!」
コラム 17季節間~季節予報(S2S)プロジェクトとMio博物館(Museum)
第5章 地球温暖化と台風
5.1 そもそも温暖化とは?
コラム 18温室効果
5.2 台風発生数や強い台風の数はどうなる?
5.3 これまでの観測データから台風の変化傾向について言えること
5.4 21世紀末に台風はどうなる?
5.5 IPCCの第5次評価報告書より
5.6 今後の課題
第6章 台風の国際協力と将来の台風観測
6.1 世界気象機関(WMO)
6.2 台風委員会、地域特別気象センター
6.3 熱帯低気圧に関する国際ワークショップ
6.4 国際共同研究プロジェクト
コラム 19台風メーリングリスト
6.5 新しい台風観測
6.6 新しい台風予測―台風の発生予報
第7章 台風災害を減らすには
7.1 主な台風災害
7.2 大雨や強風、高潮の予報が良くなれば災害による被害者はゼロになるか?
7.3 気象庁の出す警報、情報にご注意を
7.4 地方自治体の防災業務
7.5 「自助」「共助」「公助」
7.6 「避難三原則」と人間の心理特性